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「移り香」は弟との…2011-06-15

可南さらさの「移り香」を読む。



先日購入した「シャレード 2006 11月号 」に
前編が掲載されててちょっと気になったこの作品。
実に気になる部分で次号に続く、だったので、
なんとなく心にもやもやした作品だった。
個人的にはタイミング良く単行本化されてLucky。

挿絵は同じ陵クミコだけど書き下ろされてる。
個人的には前編に掲載されてた二人の横顔の表紙も、
清司が要の腕を舐めてる絵も好きだったので、
ちょっと残念な気もする。要、メガネだし!


我ながらBLの好みはノーマルっていうか、(なんか変w)
純愛路線に弱いのは、今までの記事で何度も書いてるけど、
100%兄弟モノは初めてピンで購入した。

幼なじみや同級生とか、
縦関係(先輩後輩)とか、
同僚とか、仕事関係先とか、
普通に街で知り合った人同士とか。

今まで好んで読んだBLタイプは、
恋人同士になるには禁忌の無いカップルモノ。

100%兄弟モノ、は
コブタ4人(男女込み)持ちの私には、
なかなか心情的に受け入れがたい設定だ。

そんな手近で手を打つなよ、と
もっと視野を広く持てよ、とどうしても思ってしまうよ。

従兄弟ならまだどうにか許容範囲内、なんだけど。
実親子は全くダメ。アレはどうみても性的虐待。鬼畜。


「移り香」では
実の兄に対して、
弟が兄弟愛以上の感情を持ってしまっている。

両親が早くに亡くなり、
それまで親交の無かった祖父母の元で育った兄弟。
親身になってくれる周囲の人も少なく、
物質的には裕福に、しかし心情面では心許なく、
それぞれ屈折した思いを抱えて成長する。

特に重大で過酷なトラウマも無いのに、
ごく自然に実兄を愛してしまっている弟。
弟の切ない思いに、兄は長い間気がつく事は無かった。
何故か自分から距離を置く様になった弟に、
兄は悲しい思いを持ちながらも、ただ憤るだけで、
双方の溝は深まるばかりの時間が続く。

兄が家業を継ぐ事のトラブルから、
兄弟は2年ぶりに関わり合いを持つ事になり、
二人の運命は新たな展開をみせる。


………
この兄、要(かなめ)はほんとに要領が悪いっていうか、
生真面目っていうか…可愛いのだ。
対外用の能面のような堅さが取れた素顔は、
確かに手助けしたくなるような、放っておけないキャラ。

そして弟、清司(せいじ)は生活力のあるカメラマンとして、
要とは正反対の性格で描かれている。
自分で自分の道を切り開き、思い通りに生きている。
決して報われる事の無い、恋心を大切に心に秘めて…。

鈍く寛大な兄、要。
不遜に見えてセンシティブな弟、清司。

「移り香」は弟との優しい記憶。


終盤、要は兄の慈愛と労りで清司を体で受け入れる。
ここでは要本人も兄弟間の禁忌をほとんど感じていない。
要は、兄弟愛の延長線上で、
最愛の弟である清司を、
最大限に癒すために抱き合う。
勿論、その行為は自分自身をも癒すためのものでもあった。
彼がさほど禁忌を感じていないのはその為なんだろうか。

兄が弟を受け入れ、ほどなく本編終了。
うぅ清司、とりあえず良かったね。
それにしても…少し中途半端な気が…。
ああ、でもこれからゆっくり幸せになるんだよね、きっと。

と感じたところで続編。
本編は要視点なんだけど、続編のショートは清司視点。
この「stand by me」は非常に切ない。

この手に転がり落ちて来た幸せは、
本来あり得るべきものではない過ちの産物だと、
どうしても感じてしまう清司。
いつかは離れていってしまうであろう兄を
自分は奇麗に手放す事が出来るのか考えあぐねている。

葛藤に次ぐ、葛藤。
最愛の人を手に入れたと思っても、
今以上の幸せはあるのかと、欲張って良いのかと、
自問自答し、葛藤してしまうことは際限なく続く。

…清司、切ないよー。
彼が、手放しで幸福感を味わえる日が来るのを
読者としては願わずにはいられんよ。


この続き、
要の気持ちが、
今はあえかな恋心がどうなるのかは、
待て続編!との事なので、とても楽しみしている。
なるべく早く発行して欲しいな。

その際にはどうか、どうか、同人誌で発表されてるという、
ラブラブ番外編も収録されますように。

そして、
あの麗しい表紙が一枚絵になることを希望するぞ。